罠。

8/37
前へ
/251ページ
次へ
「! 茂さん!?」 嵐山が呆気に取られるのも無理はない。 なぜならその海軍大尉は、ほんの十日ほど前京都の小さな料亭で意気投合した、カナちゃんの兄茂であったのだから。 「し、茂さんに敬礼!」 やがて我に返った嵐山は、笹井を促し茂に見事な敬礼を披露する。 茂はこれに速やかなる答礼で応じ、二人に休めの号令をかけつつ口を開いた。 「楽にしてよし。 海軍大尉松本茂だ。 命令に従うと確約するなら、俺の指揮下にて作戦行動に移る事を許すがどうする?」 穏やかながらも有無を言わさぬ口調にて松本大尉。 やがて嵐山が口を開く。 「そら、命令やて言われたら従わなあきまへんでっしゃろ…」 「宜しい。 笹井4号生徒、君はどうする?」 「確約致します!」 間髪入れずに笹井。 やがて松本大尉は満足そうに頷いて話を続けた。 「宜しい。 君らが来てくれれば心強い」
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加