罠。

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「あ、ああ… 都合が悪くなると口をつぐんで誤魔化すとも言われたよ」 まさかここでお鉢が回って来るとは思わなかった陸攻には、いつものような嵐陸コンビ独特のキレがない。 やがて嵐山が内心でもう一押しやなと手応えを覚えた頃、島作がお話にならないなといいたげな表情で口を開いた。 「口裏を合わせても無駄だ。 弥吉には五歳の頃から作法を叩き込んである。 その弥吉がだ、海軍作法等という海のものとも山のものとも思えない出鱈目も甚だしいインチキ作法など、人様の前で口にする訳がない。 そうだろう弥吉?」 「は、はいっお父さん!」 裏返った声で弥吉。 弥吉は今、針の筵に正座させられた上に、膝に石まで抱かされたような思いまでしているのは言うまでもなかった。 するとそれを知ってか知らずか、今度は笹井醇一4号生が口を開く。 「こちらの方は、海軍兵学校第65期小林嵐山さん。 私は海軍兵学校第67期笹井醇一です」 巷でよくイメージされている4号生像とは異なり、嵐山に負けない位に威風堂々と醇一。 そして言葉を続ける。
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