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「はい。
一流倶楽部の方々のみではなく、付添人の方々からもそう伺っております」
「という事は、こちらの方々の誰かが一式さんか狭山かそれとも二人一遍に、堪え難い屈辱若しくは侮辱…」
「笹井君と言ったか?
さっきから聞いていれば、君の言葉は所詮推測に過ぎないではないか。
証拠はあるのかね証拠は?」
証拠を出せるものなら出してみろと言わんばかりの態度で、醇一の言葉を遮りつつ早瀬貴晶伯爵。
醇一はこれに真っ向から立ち向かう。
そう。
まるで軍鶏の如く。
「もちろんありますとも。
二人はそちらの方々を袋だたきになどしていません」
「話にならないな。
それのどこが証拠になると言うのだね?」
「簡単ですよ早瀬貴晶さん。
百歩譲ってこちらの方々が江田島健児に袋だたきにされたら、こんな半端な傷では済みませんからね」
醇一はそう言うや否や、康博の左腕のギプスをゲンコツで軽く小突く。
康博は初め呆気に取られていたが、やがてキ●ガイのように喚きはじめた。
「ぎゃああああ!
痛い、折れた腕が痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いーっ!」
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