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そう喚きつつ啓吾は、セルロイド下敷のような封筒を左京の前にポンと放り出す。
左京はそれを一瞥するや、苦笑しつつ口を開いた。
「お言葉ですが本橋啓吾陸軍参謀本部付参謀。
これでは到底証拠にはなりえません」
「!」
直後啓吾の顔色が変わる。
「貴様…
いち警察官の分際で、陸軍参謀本部付参謀であるこの本橋啓吾陸軍大佐を愚弄するか!」
今まで幾多ものごり押しを成し遂げる原動力となった、本人曰く伝家の宝刀を振りかざしながら啓吾。
しかし左京は眉一つ動かさずに話を続ける。
「それではお聞き致しますが一流倶楽部の方々は何故、現場最寄の大阪ではなくわざわざ東京の陸軍病院で受診しなければならなかったのでしょうか?
陸軍病院の軍医であれば、自分達だけに都合の良い診断書を書かせる事も不可能ではないでしょう。
…たった今御自分がされたように、陸軍参謀本部付参謀の権力をちらつかせればの話ですが。
もちろんそのような、恥知らず尚且つ破廉恥な行いなど、されてはおられませんよね本橋啓吾陸軍参謀本部付参謀?」
啓吾を挑発するかのように左京。
当然啓吾はますます頭に血が上る。
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