罠。

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短く刈り込まれた頭に威厳ある口髭。 兎のようにピンと尖った耳に、微かにへの字に曲げた口。 そして、相手がどこの誰であろうと真っ正面から正論をぶつける合理性。 軍服こそ纏ってはおらず、勲章をこれみよがしに幾つもぶら下げてこそいないものの、その威厳と存在感はたちまち啓吾の存在を霞めてしまうに至る。 対する啓吾は嵐山曰く、これみよがしに留められたあまたの勲章が、まるで夜店の射的の的のようにさえ見えていた。
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