罠。

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「ええい! たかがじじいと大尉風情相手に親子揃って情けない! ぶら下げてるのか貴様ら! 井上閣下、あの見るからに場違いなクソジジイに…」 「本橋大佐。 いや、バカ大佐。 この際はっきり言っておくが、海軍では階級の下に『閣下』はいらん。 そんなことも知らないで江田島に殴り込んで来るとは、貴官の方こそ此処に居る事が場違いのようだな。 本来なら大した度胸と誉めてやりたいが、私のような小物より、まずこちらの紳士に今の暴言をお詫びをしておいた方がいいぞ」 井上氏が海軍少将と知るや、勢いよく尻尾を振り始めた啓吾に呆れながら井上少将。 そして言葉を続ける。 「幾ら貴官が馬鹿でも、松本徳三郎候爵の名前くらいは知っているだろうからな」
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