蝉の声

17/21
前へ
/21ページ
次へ
 ソラちゃんは笑顔が良く似合う。  寧ろ、笑っていない方が少ない。いつも明るいんだよな。 「そっか。それもそうだな」 「うん」  笑顔で頷き。楽しそうに細めた目を前に向けた。  前には俺らの伸びた影があった。  その影を見ながら再び彼女は鼻歌を歌いだした。だけど、歌ってる曲はさっきと違った。 「それ、なんの曲?」  そう聞くと、ちゃんと歌詞を付けて歌ってくれた。だけど、やっぱり知らなかった。  首を傾げた俺に「本当に知らないの?今流行ってるのよ」とクリクリとした目で見つめてくる。 「あ~あんまり流行りとか興味ないから」  あんまりどころか、全然興味がない。良いなぁって思う曲が好きだし、流行っているからと云う理由で好きになったりはしない。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加