蝉の声

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「これお願いします」  受付のお姉さんにソラちゃんは券を差し出した。  お姉さんは笑顔でそれを確かめると「どうぞ」と手で入り口を指した。 「どうも」  こちらを向いているので一応頭を下げた。 「どうも」  今のを見習ってかソラちゃんも頭を下げた。  この様子を見たお姉さんが微笑ましい表情をした。  …なんか、勘違いしてないか?でも、まぁ良いか。  悪い気はしないし。  …あっ、この作者知ってる。昔は絵の市場によく作品出してた人だ。  俺は入口から三つ目の絵の前で足を止めた。 「わっこの絵凄いね~」  彼女はその隣に飾ってある“血塗られた薔薇”というタイトルの前で足を止めている。
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