0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
タイトルだけでも十分凄いのに、絵の構成も凄い。
嘴を赤く染めた真っ黒な烏に囲まれて、赤い薔薇が一輪咲いている。
なかなかインパクトのある絵だ。しかも、この絵の薔薇の色が、まさに血の様に赤くて不気味だ。
実を言うと、俺はこう云う絵を描くのがとても苦手だ。それは描いてるこっちが気持ち悪くなるから。
前に挑戦した事があるんだが、下書きの時点で断念してしまった。
「ねぇこの赤色、本物の血みたいな色だね~」
彼女は感嘆の声を上げた。
「そうだな」
ジーンズのポケットに手を突っ込んだまま、彼女の背後から返事をした。
彼女のように間近で絵を見るのはなるべく遠慮したい。
だってなんだか生々しいよ、その絵。
「…ねぇこの絵、独特のニオイがするよ?なんか生臭い気がするの」
絵に触れるかどうかくらいの所まで彼女は鼻を近付けている。
最初のコメントを投稿しよう!