第1章

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父さんの言葉を聞いて、私の中に大きな疑問が浮かんだ。   「なんで、父さんが直樹の気持ちを知ってんの?」 私は思わず口に出した。   「そ、それは…」 今度はなぜか急に父が戸惑った顔をした。   「私がずっと協力してたからよ」 横にいた母がドヤ顔でサラッと言った。   「協力?」 私は理解できず、母を見た。   「あんたまさか大学、就職って偶然一緒だったって思ってたの?」 母があきれ顔をし、父も残念そうに私を見た。   「え~っ!」 私は思わず大声を出した。直樹が大きなため息をついた。   「そうか、お前が原因か…」 父が納得したように呟いてため息をついた。   「こんなんじゃ、直樹君も打ち明けられんな」 何か… 私がとーっても鈍い残念な人みたいになってる?   「え、えっ?じゃあ母さんずっと私の進路を直樹に話してたの?」   「そうよ。じゃないと普通一緒になるわけないでしょ。でも直樹君、ほんとに良かったのかしらね?なんか申し訳なくて」   「いえ、僕がお願いしてた事なんで。ずっとお世話になりっぱなしですみません」   「いいのよ。直樹君、社会人になってからはうちにお中元やお歳暮っておいしいもの送ってきてくれてるじゃない。いつもありがとうね」   「はあ?なにそれ?」   「あんたもお正月に『このハム美味しいね』っていっぱい食べてたわよね」 私は言葉を失った。 じゃあここ数年お正月に食べてたハムは直樹からだったの~! って… いや喰いつくとこ違うな… そうそう訊かなきゃ!   「なんで?直樹?そんなことを?」 直樹は顔上げて私を見た。   「この間も言った通りお前のそばにずっといたかったからに決まってるだろ」   「だからってそこまでする?」   「まあ、大学は行きたい学部があったし、就職は内定もらえたし?。これも運命?かなと思って」 私は直樹の事何も知らなかった…とつくづく思い知らされた。 っていうか家族ぐるみで秘密持つとか、ありえない。   「で、バラの花は?」 これで最後の謎が明かされると信じたい。
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