第1章

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みんなと別れてから見た携帯にはメールが1通。直樹からだった。   >まだ、帰ってないんだな。明日もあるんだから早めに切り上げろよ。帰りうちに寄っていけよ。 以前なら、『何様だよ』って怒ってた内容だけど、今はこんなメールにもニヤついてしまう。 まだ、10時ちょっと過ぎだし、いいかな?   私はエレベーターを2階で降り呼び鈴を鳴らした。   「お帰り、酔っぱらい」 髪を拭きながらTシャツのいつもの姿の直樹が現れる。 酔ってるせいなのかそんな格好もなんだか色気があってかっこよく見える。 ドアを閉めるとヒールを脱ぐのも早々に直樹の胸に腕を回して抱きついた。   「な、なんだよ」 直樹は慌てながら私を抱きとめる。 鼻先にシャンプーのいい香りがして、腕の中で脱力しそうになった。 だけど、   「お前、焼き鳥食べたな」 頭の上で言われて、ふと我に返って恥ずかしくなった。   「ご、ごめん。風呂上がりなのに嫌だよね」 腕を解いて離れようとした私を今度は直樹が笑って引き寄せる。   「いいよ。それよりそんなに会いたかった?」 先週までただの幼なじみだった直樹にあからさまに聞かれてかーっと頬が赤くなるのを感じた。   「ねえ、優羽?」 答えない私を問い詰めるように私の顔を覗き込む。 なんだこのバカップルモードは!…恥ずかしい、照れるし。   「は、恥ずかしすぎでしょ、そ、そんなこと言うの」   「聞きたいんだ。言って?」 だけど見つめる直樹が真剣な瞳をしてたから、   「キスしてくれたら」 と小さく呟いた。 実感がなくて、今日一日ふとした瞬間、直樹の事を考える度にまた勘違いなんじゃないのかとか考えてしまっていた。 本当に直樹が女として自分を好きなのかどうか確かめたかった。 直樹は私を抱き寄せてキスをした。 ゆっくりと優しく…。 “きっと直樹も確かめたかったんだね”   「私の事本当に好き?」 何度だって聞きたい。   「ああ、お前が思ってる何万倍もお前の事が好きだ」
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