ひどく疲れてるね。

4/7
前へ
/14ページ
次へ
が、残念ながら美味しいとはとても思えない。 熟成した高級なワインなのだろうなということはわかる。けど私は若いやつの方が好きみたいだ。いいワインとやらを初めて飲んだおかげで新発見。 そんな微妙な感想は顔に出ていたらしく、圧し殺した笑声が聞こえ目の前の人へと視線を戻す。 「ククッ…どうやら口に合わなかったようだね」 「申し訳ありません…」 「いや、ならこちらはどうかな?飲みやすいと思うよ」 そうして現れた3つ目のグラス―いくつ持ち歩いてるんだろう?―に新しいワインが注がれ、先のものより鮮やかな赤が揺れていた。 「どうぞ」 「ありがとうございます……あ、美味しい」 「それはよかった」 にんまりと弧を描く将軍の口元を見て、つい素で返してしまったことに気づき顔に熱が集まる。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加