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が、残念ながら美味しいとはとても思えない。
熟成した高級なワインなのだろうなということはわかる。けど私は若いやつの方が好きみたいだ。いいワインとやらを初めて飲んだおかげで新発見。
そんな微妙な感想は顔に出ていたらしく、圧し殺した笑声が聞こえ目の前の人へと視線を戻す。
「ククッ…どうやら口に合わなかったようだね」
「申し訳ありません…」
「いや、ならこちらはどうかな?飲みやすいと思うよ」
そうして現れた3つ目のグラス―いくつ持ち歩いてるんだろう?―に新しいワインが注がれ、先のものより鮮やかな赤が揺れていた。
「どうぞ」
「ありがとうございます……あ、美味しい」
「それはよかった」
にんまりと弧を描く将軍の口元を見て、つい素で返してしまったことに気づき顔に熱が集まる。
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