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今更言い直すことも出来ず、再度礼を述べることしか出来なかったが、将軍は笑みを深めるだけで、気分を害された様子はない。
気付かれないように息をついた。どうやら雰囲気に呑まれているだけでなく、緊張もしているみたいだ。さっさと退散したい。
この方の直属軍に入り、それなりの時が経ったが、未だにこの方のことがよくわからない。わからないから…怖い。
「ああでも、よかった」
「?」
「うん、顔にだいぶ赤みが戻ったね。最初君がここに現れた時の顔色は酷かった。ひどく疲れてるね」
ここが、と、自らの胸をとんっと指す。
今日の浮かない気分は私の精神の疲労によるものだったのかと、その時初めて気付いた。
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