2人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に一人になって、整理を始める。
と言っても荷物はボストンバッグに入っているだけなので、すいすいと進んで行った。
机に勉強道具を置き、枕元には目覚まし時計。後は箪笥に洋服をたたんで入れて……
それからお父さんとお母さんが写っている写真を箪笥の上に静かに置いた。
ことん、と木の音がやけに大きく聞こえる。
お父さん……お母さん……
写真たてを片手でそっと撫でた時、コンコンとノックの音がした。
「小春、夕ご飯ですけど、何か食べたいものはありますか?」
少し間が空いてから、ひょっこりと暁月の顔が覗く。
私はサッと写真たてから手を引いて、ドアの方へ向かった。
「えっと、その…特には」
「そうですか。なら、今から買い物に行きますから一緒にきませんか?」
少しは土地勘も必要ですし、と言われ、素直に頷く。
そしてそのまま部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!