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連れて来られたのは、ごくごく普通のスーパー。
ここが一番近いらしい。
「ここまで来る途中にコンビニがありますし、本屋や雑貨屋なんかはこの先にある商店街で買えます。野菜や魚なんかもそっちの方が新鮮なんですけど、どうしても近い方に来てしまって……」
商店街、という言葉に意外性を感じた。
周りにはマンションやビルが多くあるのに……まだ残ってるんだ。なんかいいな。
そんなことを思いながらカゴを片手に自動ドアを抜けて行く暁月の後をおった。
「暁月は…料理、できるの?」
真剣な顔で品物を選んで行く暁月に問いかける。
「一応自炊してますからね。一通りは作れると思ってます」
「ふうん……」
「小春はどうですか?」
料理……。
「カレーとか、位なら作れる……と思う」
あえて作れるとは言わなかった。
「思う…?作ったことあるんでしょう?」
「あるけど……美味しいかどうかは」
分からなかった。
作っても食べるのは自分だけで。
誰かに食べてもらうことも、感想を聞くこともなかったから。
一人で食べるご飯は味なんてしなかった。
だから、分からない。
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