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叔母さんは世界を駆け回って色んな写真を撮るカメラマン。
本当なら今日までの2ヶ月間だって、日本にずっと居るのは難しかったはずだ。
それなのに、心配するなと言って
叔母さんは私と毎日いてくれた。
その間、色んな国の色んな写真も見せてもらった。
キラキラとした海や、雪の積もった山、楽しそうに笑う人々を見ていると、自然と口元が緩んだのを覚えている。
「ねえ、小春。私は自分の意志で貴方と過ごしたいと思ったの。だからね、これから行く人が嫌な奴だったらいつでも言って来なさい。叔母さん、貴方のためだったら仕事なんていつでもやめてやるから」
「……っ」
何か言おうと思ったけど、その時信号が青に変わり
また車は前に進んで行く。
知らなかった。叔母さんがそこまで私のことを考えていてくれたなんて。
でも、だからこそこれ以上甘える訳にはいかないとも思った。
「……叔母さん、ありがとうございます」
私はやっとの思いでそう呟いた。
叔母さんは聞こえていたのだろうか。
横目で覗くと、少しさみしそうに笑う叔母さんの横顔が見えた。
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