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「小春さんにはこの部屋を使ってもらおうと思うのですが……」
通された部屋は、すでにタンスやベッドなどが整えられていた。
「これ……」
貴方が?そんな気持ちで彼を見上げる。
「すみません、何を準備すればいいのかよく分からなかったので、取り敢えず必要になるものだけですが。また要る物があったら言ってください」
そんな彼の言葉に、私はぶんぶんと首を左右に振った。
驚いたのか少し目を開いた彼が視線の端に見えた。
「そんな……私は、私にはこんなにしてもらう資格なんてありません」
ただ、置いてもらえればどこだって、どんな所だっていいと思っていた。
「……では、これは私の勝手にしたことです。ですから、私の勝手に付き合って、ここで暮らしてもらえませんか?」
うつむく私に、ゆっくりと低くて心地いい声が響いた。
勝手だなんて……
「……貴方は、工藤さん、は。
意地悪ですね……そんな風に言われたら……」
断れるはずが、ないのに。
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