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ワイングラスを一杯空けただけで、思いの他早く酔いが回っていく。
新入社員の頃、酒癖が悪いって言われて、それ以来、あんまり外では飲まないようにしてた。
家ではたまに享と飲んでいたから、久しぶりと言うわけではないけれど。
ワインのボトルに残る液体が、少なくなってくると、
私は頭の中で考えるよりも先に言葉が出ていた。
口が自分で制御できなくなっている。
いつのまにか、享との出会いから、
体の関係になったときのこと、
今までの付き合い方も、
今日の別れ話のことも、
美波に洗いざらい話していた。
「あぁ。ほんっと、
莉子って相変わらずいい人ぶって、
損な役回りなんだね!」
美波は自分のことのように、享に腹を立ててくれる。
「私だって、美波みたいにカッコよかったら
いくらでも強気になれるけど、こんなでしょぉ。
もうシタテにでて、理解ある女ぶってることしかできないよ」
「莉子はかわいいよ。
私よりずっと可愛い!」
「そんなこと言って、ホントは見下してるんでしょ?
どうせ、こんな年で男にフラレた情けない女だと思って。
キレイな格好して、
キレイな部屋に住んで、
仕事もできて、
自分の欲しいものはなんでも手に入れてるような顔して、
結婚しないのも選べないだけで、
しようと思えばいくらでも候補はいるって感じがするし。
私なんかに声をかけたのも、
ただのお情けで」
どんどん惨めになっていく。
もうこの口どうにかしてって頭の中では思ってるのに、止まってくれない。
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