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後藤類は、フッと皮肉めいて笑いながら、
ゆっくりとした動作で
以前のように私との距離を空けて
ベンチの反対側の端に腰をかけた。
私たちの間の距離は人二人分は空いていて、
特に緊張はしない。
ただ、こう人気のない場所に二人でいるなんて、
秘密の恋人同士の密会みたい・・。
「理不尽だって、自分でわかってるんだね。
態度大きすぎだし、非常識だしね」
少しトゲのある言い方だけど、
私は、怒ってない。
静かなこの空間じゃ、大きな声を出す必要もない。
「・・・ひでぇ・・」
つぶやくように言う。
後藤類も腹を立てるつもりはないようだ。
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