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「ちょ・・ちょっと待て」
後藤類が、ガサッと音をたてて、
立ち上がる気配がした。
振り向くことなく去ろうとしてた私は
突然右手首を引っ張られ、
バランスを崩しそうになりながら
立ち止まった。
テジャブ?
じゃない・・。
そういえば、
この間もこんな感じだった。
そうだった。
情けないところを見られて、
一刻も早くこの場を去りたいって思っていたのに・・。
「・・・あの日。
なんで、こうやって、
私を引き止めたの・・?」
私は掴まれた手を振り払うことなく、
顔だけ横に向けた。
「あの日・・?
あぁ・・。こないだの・・・」
うーん・・。
と少し考えるそぶりを見せたあと、
「あ。そーだ。おにぎりがウマそうだったから」
これまたキッパリ言い切った。
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