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「不思議と、イライラがおさまるからな・・」
座り心地を確かめるように、ゆったりと座って、
穏やかに言う姿は、やっぱり『王子』だ。
「そうなんだよね。ここ」
その気持ちはすごくよく分かる。
うんうん。と大きく頷いて、
私ももう一度ベンチに腰をかけた。
そのまま、しばらくお互い何もしゃべらない静かな時間が過ぎた。
乾いた枯葉が擦れる、風の音。
遠くに聞こえる学生の話し声。
沈黙が心地いい。
「でもやっぱり『逃げ』じゃなくて、ヒーリングだよ。癒し。
だからイライラも収まるし、気持ちも落ち着くの。
何かの原因で、逃げてきたのかもしれないけど、
ここで癒されることは、悪いことじゃない」
好きなんだもん。ここ。
逃げ場が好きだとは思いたくない。
後藤類は何も言わなかった。
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