8恋

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 十月も終わりに差しかかった、秋、晴天の日。  車に揺られながら紅葉目当てにドライブ―― (なら良かったんだけどな……)  俺は榊さんが運転する車の助手席で、 うつらうつらと途切れそうになる意識をギリギリで保っていた。 「眠いなら寝ていっても構わないんだぞ」  ハンドルを握りながら 気遣いの言葉を投げかけてくれる榊さんには 有り難く思うが…。 「運転してくれている人の横で寝るなんてできませんよ」 「変なところで気を遣うな。朝、早かったんだろう?」 「それは榊さんもでしょ。俺がそっちの店行くって言ったのにわざわざ迎えにまで来て……」 「久し振りだったから、早く会いたかったんだ」 「っ……」  この人は、 恥じらいも無くこういうことをサラッと言う。  その度に焦らされるこっちの身にもなってもらいたいものだ。
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