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33歳。女。独身。彼氏いない歴3年。
仕事中心。正直、恋愛がもう面倒くさい。
「ホントに、枯れてるのかもな……ハハ…」
空へと消える儚い独り言。
痛みに鈍感になってゆく自分に、渇いた笑いが漏れる。
俯くと視線に入った穴の開いたつま先。
それを覆い隠すように、ギュッと握った。
いつから素直に泣けなくなったのだろう…
それさえ思い出せないほど、私は独りに慣れてしまった。
「…靴、取りに行かなきゃ……」
こんなところで腐っていても、仕方ない。
隠してしまえば、綻びは見えなくなるのだから。
気を取り直し、靴を取りに立ち上がろうとした時だった。
「おい」
突如、低い声に呼びかけられ、ハッと顔を上げた。
「な、んで…」
まるで泣いているような掠れ声が零れ出る。
見上げた先にいたのは、岸谷 改だった。
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