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2 #2
やっと辿り着いた非常口から外階段へと出た。
「ざっけんな!!」
私はやけくそ気味に足からハイヒールを剥ぎ取り、思い切り下方へと投げつけた。
カランカランと音を立てながら階段を落ちてゆく黒いハイヒールは、踊り場でとどまった。
感情が治まらず、もう片方も脱いで、力いっぱい投げ飛ばす。
すると、その靴は踊り場からも滑り落ちてしまい、地面へと落ちて行った。
でも、今はそんなことどうでもいい。
『仕事が出来たって、捨てられたらお仕舞』
突き刺さった言葉。
私は頭を抱えて、しゃがみ込んだ。
「いつまで…この噂、残ってるんだよ…!」
3年前の過去の恋愛の綻びが、未だに燻っている。
無責任な野次馬は、人の不幸が蜜の味。
どんなに当事者を傷つけようが、その傷口が見えないから、へっちゃらなんだ。
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