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「そうよ。だって、男女平等なんて建前のようなものでしょ?
女がやりたい仕事をするには、男より仕事を熟さないと相手にしてもらえないもの」
そうやって、私は肩肘張って、これまでやって来た。
男に捨てられたって。女として枯れたって。
だからこそ今があるのだ。
仕事こそ、私を支えているプライド。
「面白い…」
「は?」
岸谷がフッと口の端を上げて笑う。
そして、腕組みをして、悠然とした立ち姿で、私を見下ろす。
「上等だよ。受けて立つ」
受けて立つ?
何で戦闘態勢?
「今後、プライベートで会わない。誘わない。あくまでも会うのは仕事上だけだ」
突然、態度の変わった岸谷に戸惑う。
「そう…なら、いいけど」
とりあえず話が穏便に済みそうで安堵する。
だけど、何か企んでいるような岸谷の表情が気になる。
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