3 #2

19/23
前へ
/35ページ
次へ
「森園すず」 「ちょっ!」 突然、フルネームを呼ばれ、一気に恥ずかしさが増す。 「名前、言わないで!」 私は自分の名前が嫌いだ。 『すず』なんて、大人しそうで可憐な女の子って感じで、私には似合わないからだ。 「ふーん…お前、名前呼ばれるの苦手なんだ…」 面白い玩具を見つけたように、ニヤリとする岸谷。 くっそ! またも弱味を握られたようで悔しい。 「俺は、お前の名前も、勤め先も、携帯番号も知った」 「仕事上、ね」 教えたくて教えたものじゃない。 「そうだ。1か月前のあの夜とは違う。それがどういうことかわかる?」 「何が言いたいのよ?」 勿体つけた物言いにイライラする。 「俺との接点は解除できない。 お前は、あの夜のように、俺の前から消えることはできないんだ」 ・
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2190人が本棚に入れています
本棚に追加