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「やっぱりさぁ…浜本の事って、トラウマなわけ?」
まだ、この話、続けるんかい!
やけに突っ込んでくる課長にイラつき始める。
「別に」
至って冷静に即答。
「じゃあ、それが原因で男がいないって訳じゃないんだ」
「違いますよ。こんだけ仕事にかまけてりゃ、出会うチャンスないじゃないですか」
キーボードを叩く音が、苛立ちと共に大きくなってゆく。
「まあなぁ。だったらさぁ…」
「ハアー…何ですか」
しつこさに呆れて、キーボートから手を離し、くるりと椅子を回して、課長に向き直った。
すると、思いがけない一言が。
「俺とかどうよ?」
自分を指差している荒木課長。
「………は?」
かなりの間を置き、私はたった一文字を発した。
だって、それしか出てこなかった。
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