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「もしもし」
『おせーよ』
開口一番がこれだ。さすがにムッとする。
私は課長に背を向けて、口元を手で隠して話し始める。
「すぐ出たでしょ」
『違う。お前の連絡だよ』
そっちか。
つか、年下のくせに態度デカいだろ。
「……だから、何時になるかわかんないって言った」
『そんな効率の悪い残業して何になるんだ?』
「何になるって…」
とことん失礼な奴だな!
『今から1時間以内にあのBARに来ること』
「は?無理に決まってるじゃん!?」
岸谷の無茶振りに、小声で声を荒げる。
『だったら、今からそこへ迎えに行くけど』
それは困る!すっごく困る!!
仕事の関係先の相手とプライベートでの接点があるなんて知られたら、社内の奴らに何を言われるかわかったもんじゃない。
特に岸谷は、身に覚えがある分シャレにならん!
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