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「それと…森園君、この調査における査定は、私とその上の者が行うから。戸塚の意見は参考にしない。そのつもりで」
「なっ!?」
「ハアー…仕方ないだろう。君がここまでみっともないことをするとは思っていなかった。残念だよ」
眉を吊り上げた戸塚に、二谷課長は冷たい視線を向けた。
「それでは、失礼いたします」
私は一礼し、意気消沈する蛇男を横目に退室した。
「フゥー…」
大きく息を吐き、私は歩き出した。
この調子じゃ、戸塚の昇進は当分ないな…
でも、私の評価もどう転ぶかわからない。
前田に対して、プライベートのことを叱責したのは確かだ。
人事で、そこをどう判断されるかだ。
総務課に向かいながら、左肩を自分でポンポンと慰めるように軽く叩いた。
「壊れずに済みました…」
誰かに報告するように、小さな独り言。
不思議とさっぱりとした気分だった。
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