5 #2

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5 #2

「まずは、前田君のことだが…君から不当な扱いを受けていると…」 「不当とはどういうことを指すのでしょうか?」 前田の訴えがどんなものか解らなければ、応えようがない。 「それは、自分自身がわかっているんじゃないのか?」 戸塚が横やりを入れてくる。 「思い当たる節がないので、質問しているのですが…」 私はわざと戸塚と目を合わさず、二谷課長へと尋ねる。 「前田さんは、君がわざと自分が対応できない仕事を押し付けてくると。指導もきちんとしてくれないと言っているんだがね…」 「そうですか…私は彼女の上司として、この1年半、彼女が仕事に取り組みやすくなるよう、尽力したつもりです」 私は胸を張って応える。そう言い切れる自信があるからだ。 「前田さんには、これまでと同様の新人教育を行ってきましたが、1年経ってもなかなか成長が見られませんでした」 ・
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