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「大丈夫だったか?」
「え?」
階段を上っている途中、声をかけられた方を見上げると、踊り場で荒木課長が腕組みをして手摺に寄りかかっていた。
ひょっとして待ってた…とか?
「大丈夫でしたよ」
「そうか…」
「はい」
私は心配させないように笑顔で応える。
「戸塚は?」
「相変わらず、です」
「どうしようもない奴だな」
「フフフ…だから、二谷課長に怒られてました」
「え?二谷さんが?」
「はい。珍しいですよね?」
「そりゃ、よっぽど腹に据えかねたんだな」
「だからだと思いますが、二谷課長が戸塚の意見は参考にしないと言ってました」
「へぇ…」
私の報告に、荒木課長の表情が和らぐ。
「二谷さんがいてくれてよかったよ」
「そうですね」
二人で階段を上り始める。荒木課長の後ろについてゆく。
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