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しかし、すぐに思い当たった。
「ああ!もしかして……小野寺君の事ですか?」
一男性社員なんて回りくどい言い方をするから、ピンと来なかったのだ。
「やっぱり!身に覚えがあるんだな!?」
戸塚が身を乗り出して問い返す。
「身に覚えって…そんなのありませんよ。ハアー…」
馬鹿じゃないの?戸塚の奴。
呆れて、溜息が出てしまった。
「私が詳しく話さなくても、今までの聞き取りでも出てきているんじゃないんですか?
前田さんの小野寺君に対する猛烈アピールは、傍から見てても凄かったですから」
二谷課長は、聞き取り内容を記しているだろう書類をペラペラと眺めながら、肩をすくめて苦笑い。
「だからって、私情を挟んで、差別してはいけないだろう!」
私情? 差別?
何それ。
戸塚の追及は、見当違いも甚だしい。
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