7

29/29
1504人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「すずちゃんこそ、どうするつもりなんだよ?俺と課長さん」 「ーーッ!!」 心臓がどくんと大きくうねる。 この男は、私の心を透視でもしてるのか。 冷笑で見下ろす視線に、背筋がぞわりとする。 ポーンとエレベーターの到着音が鳴り、ドアが開いた。 去り際に岸谷が耳元で低く囁く。 「お前が壊れるのは俺の前だけだ。わかっているよな?」 一瞬で支配される。 何度も何度も繰り返し、細胞すべてに覚え込ませるように。 命令口調の物言いに、ムカつくどころかトキメキに似た感情を胸に疼かせて。 岸谷はエレベータから降りると、私を振り返りもせずに言った。 「じゃ、デート、どこがいいか考えといて」 そして、手をヒラヒラさせて、呆気なく去っていった。 「もう…嫌だぁ…」 閉まるドアの中、壁にもたれ、ずるずるとしゃがみ込む。 ・
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!