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それよりも、今は資料を明日の会議に間に合わせる方が重要だ。
「とりあえず、時間がないから、すぐにデータを送ってくれない?」
『俺、今日オフだから、すぐには無理だぞ。とりあえず、今から会社に行く』
「ごめん!恩に着る!」
電話を切って、くるりと振り返ると、総務課のメンバーがポカンとした顔で並んでいる。
「なんとかデータを送ってもらえることになりました!」
私が安堵した表情で言うと
「係長、岸谷と知り合いだったんですか?」
「へ?」
「だって、今の電話、岸谷さんにタメ口でしたよ?」
「あ!」
「『もしもし私!』で通じる仲なんだな」
「ああ!」
焦っていたから、完璧な素モードで岸谷と会話をしていた。
課長と小野寺はじとりと疑いの眼差しで、堀ちゃんは目を見開いて好奇心丸出しの眼差しで、私を見ている。
し、しまった!
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