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はぁ…と私の中から震えた息が漏れる。
ゆらりと戸塚の姿が動いた。
その動きにつられて見上げると、彼の目が真っ赤に充血して、私を見下ろしている。
異様な雰囲気に、私は息を飲む。
やばい…
「俺をバカにするなって言っただろ?」
戸塚の背後に黒いオーラが漂って見える。
危険を察知し、身を翻して逃げようとしたが、腕を掴まれる。
「離して!戸塚、いい加減にして!」
「キーキー煩い!」
大きな声で怒鳴り返されて、私の身体は強張る。
「お前は女のくせに偉そうなんだよ!」
「きゃっ!」
壁にドンと突き飛ばされ、反動で身体がよろけて跪く。
「所詮、女が男に適う訳ないだろ!!」
叫んだ戸塚の腕が動くのが見えた瞬間、咄嗟に目をギュッと瞑り、手足を縮めて身構えた。その時
「そこまで」
低く響いた声。
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