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「いい大人がこんなところで喧嘩なんて、みっともないですよ」 ゆっくりと目を開き、声のする方を見上げる。 けれど、誰かが私の前に立ちはだかり、その人の足しか見えない。 「どうします?人を呼んだ方がいいですか?」 淡々とその人物が告げると、バタバタと立ち去る足音。多分、戸塚のものだ。 全く状況は掴めないが、危機から逃れることが出来たようだ。 「すずちゃん」 足だけしか見えなかった人物の顔が、私の目の前まで下りてきた。 「どうして、いるの…?」 「フッ…気になるの、そっち?」 いるはずのない岸谷が、目の前で笑っている。 「何で…?」 「これ」 顔の横でUSBをヒラヒラと動かす岸谷。 「総務課に行ったら、堀さん?って人しかいなくて…お前が会議室で作業しているって教えてくれたんだ」 そっか…そういうことか。 ・
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