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「でもさ、あんな奴がいるってことは、あの女が犯人とは限らないな」
岸谷は、腕組みして振り返り、廊下奥の階段の方を見た。戸塚が走り去った方向だ。
なるほど。
岸谷の言う通り、私に反感を持っている奴はまだいるはず。
だから、前田が犯人だと決めつけるのは厳しい。
だとすると、誰がデータを持ち出したのか、突き止めるのは正直難しいかもしれない。
と考えた時、肝心なことを思い出した。
「そうだ!わざわざデータ持って来てくれたんだよね?ありがとう」
私は改めて、お礼を言う。
「メールで送っても良かったけど、また勝手に操作されて消去されるとも限らないから、すずちゃんに直接渡した方がいいと思って」
「……だから、名前。今、仕事中でしょ」
「俺は今日はオフなの。だから、本日は仕事じゃなくてボランティア」
ちっ!ああ言えば、こう言う奴め!!
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