7

25/29
1504人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「岸谷さん、ご足労いただいて、申し訳ないです」 「いえ。暇してたので、お気になさらずに」 「休日だったんですね?」 「はい。だから、私服ですみません」 「いえいえ。それこそお気になさらずに」 普通の会話を交わしているのに、二人が話している姿を見ていると、そわそわ落ち着かない。 だが、素知らぬ振りして、データ確認作業を続ける。 「眼鏡がないとガラリと雰囲気が違いますね」 「よく言われます。今もその話をしてたんですよ」 「みたいですね。でも、森園は普段のあなたを知ってるんでしょ?」 「ああ、まあ…そうですね」 岸谷、認めるな! 冷や汗が吹き出てくる。 「森園さんとは仕事でご一緒する前に、一度お会いしたことがあるんですよ」 「き、岸谷、さん!?」 何を言うつもりなんだ!? 焦る私を含み笑いで一瞥して、岸谷がとんでもない事を言い出す。 ・
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!