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「岸谷さん、ご足労いただいて、申し訳ないです」
「いえ。暇してたので、お気になさらずに」
「休日だったんですね?」
「はい。だから、私服ですみません」
「いえいえ。それこそお気になさらずに」
普通の会話を交わしているのに、二人が話している姿を見ていると、そわそわ落ち着かない。
だが、素知らぬ振りして、データ確認作業を続ける。
「眼鏡がないとガラリと雰囲気が違いますね」
「よく言われます。今もその話をしてたんですよ」
「みたいですね。でも、森園は普段のあなたを知ってるんでしょ?」
「ああ、まあ…そうですね」
岸谷、認めるな!
冷や汗が吹き出てくる。
「森園さんとは仕事でご一緒する前に、一度お会いしたことがあるんですよ」
「き、岸谷、さん!?」
何を言うつもりなんだ!?
焦る私を含み笑いで一瞥して、岸谷がとんでもない事を言い出す。
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