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くっそーー! 岸谷の奴!!
つか、どこまで話す気なのよ!?
しかめっ面の私を余所に、岸谷は平然と変わりない。
「それで悪乗りした俺は、森園係長に懇々と説教されまして……だから、森園係長と再会した時はバツが悪くて、今まで黙ってて貰ったんです。ね?」
詐欺師だ!詐欺師がここにいる!!
私を脅して、おっぱい鷲掴みしたくせに!
なんてことは言える筈もなく、同意を求める岸谷に、私は顔をひきつらせ、ただ黙って頷くのみ。
「それで、岸谷と係長はタメ口だったんだ」
「ま、その時は年齢とか気にしてなかったし、まさか仕事で再会するなんて微塵も思ってなかったからさ」
「なるほどね」
「凄い偶然あるものですねぇ」
「ホントだな」
あれだけ訝しんでいた課長と小野寺も、岸谷の話で納得したようだ。
私は、皆を上手く丸め込んだ岸谷の見事な手腕にただただ感服した。
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