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漸く唇が解放され、大きく息を吸込んだ。
その瞬間
「ひうっ!」
ガシッと胸を強く掴まれ、脳に突き刺さるような衝撃が突き抜ける。
思わず背中が弓なりに仰け反り、その反動で身体がぐわんとソファーに沈む。
「…ヤメ…て…」
たったこれだけのことなのに、すでに呼吸が乱れる。
掴まれた胸が痛いのか。
高鳴る心臓が痛いのか。
私を見下ろす男の冷たい眼差しに身震いする。
「やっぱりな…」
眼光はそのままに、口の端だけで笑う男。
そして、今度は腕を掴まれ、浮き上がる身体。
「な、何!?」
「ここじゃ狭い」
男は私を担いで、ベッドまで連れてゆく。
予測不可能な行動に、私は全く対応できない。
「きゃあ!」
広いベッドに放り投げられ、弾んだ身体が落ちないように、咄嗟に布団にしがみついた。
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