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混乱した頭を抱えたくて、私は握られていた手を引こうとした。 だけど、課長がそれを許してくれない。 ギュッと握って、手を離さない。 「最初に言っただろ?俺に問題があったって」 「でも…!」 不妊治療、不倫疑惑…確かに私が直接介した問題じゃない。 だけど…課長の話を聞く限り、二人の離婚は例え間接的だったとしても、私の存在無しにはあり得なかったということだ。 複雑な思いが胸を燻らせる。 「俺とカミさんは、納得して別れたんだ。お前とは関係ない。 本当は…俺もお前に自分の気持ちを伝えるつもりはなかった。いずれ、この話をお前にしないといけない時がくることになるから…」 「だったら、どうして…」 私は狡い。 課長の過去を聞いて、逃げ出したいと思っている。 だから、課長と目を合わせることが出来ない。 ・
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