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私はどうだろう。 3年前のことを吹っ切れているんだろうか? 課長と比べれば、私なんて些細なことのように思えるのに。 なのに、どうして私はこんなにも変わることができないんだろう。 「森園…お前に聞かれたっていうのもあるけど、俺がこの話をしたのには理由がある」 「理由…?」 「ああ…お前の年齢だ。お前も30過ぎれば、結婚ってのを意識せざるを得ない環境にあるだろう」 確かにそうだ。 実家の父は、それで躍起になって結婚させたがっている。 「子供を望むなら、俺は難しい」 「ーーッ!」 課長の言葉にハッとする。 「いい歳した大人同士が付き合うとなれば、将来を見据えて…となる。だとしたら、俺の問題を抜きには出来ないだろ?」 真っ直ぐ見つめる眼差しに、私に対する誠実さを感じとる。 課長は、私のことを思って、この話をしてくれたんだ。 ・
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