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どれだけの勇気がいっただろう。 どれだけの覚悟がいっただろう。 そして、こうやって話せるようになるまでに、どれだけ辛い思いを重ねてきたのだろう。 胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚。 課長の手の中にすっぽり納まっている自分の手をギュッと握った。 すると、課長の手にも力が籠る。 「俺は狡いから、この話をしたんだ。お前の優しさに付け込もうとしてる。 だけど、いいか?選択するのはお前だ。お前は自分が幸せになることだけを考えろ。選択を間違えるな。いいな?」 ぐっと握りしめた私の手を二度揺らし、課長は笑顔で頷きながら、そっと離した。 課長……本当に狡い人はそんなこと言わないよ… 心が揺さぶられる。 浜本の別れで心を閉ざした私を、自分も傷つきながらもずっと見守ってくれてた人。 自惚れでなければ、一途に私を想ってくれている人。 ・
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