10 #2

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それに引き替え、全く何を考えているのか解らない岸谷。 まるでゲームでもしているかのように私を翻弄して。 その上、あんな女が近くにいて。 どちらを選べば幸せになれるかなんて解りきっているのに。 だけど… 自分だけを愛してほしいという欲求。 子供を欲しいという本能。 二つの想いがせめぎ合う。 女こそ、現実的で打算的で……強欲な狡い生き物だ。 「すぐに答えが出ないのは解っているから気にするな。ゆっくり考えればいいさ」 何も答えが出ない。 課長の優しい言葉に、黙ったまま力なく頷く。 浅ましい自分に嫌悪しながら。 「さ、そろそろ社に戻るか」 「…はい」 課長は、さっきまで辛い話をしていたなんて素振りは全然見せずに、普段と変わらずに落ち着いた雰囲気で私へと声をかける。 私は、ただ課長の背中についてゆくしか出来なかった。 ・
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