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「ちょっ…え?」
抵抗する間もなく、すぐに隣にあるスタッフオンリーの扉へと引きずり込まれる。
「何すんのよ!」
手を振りほどき、怒鳴る。
周りを見れば、ホテルスタッフも誰もいない。岸谷と二人きり。
「お前が電話に出ないからだろ」
「出る義務はないでしょ?」
「話ぐらい聞いてくれてもいいだろ?」
「別に聞かなくていいから」
私はそう言い捨てて踵を返す。
「待てよ!」
だけど、すぐに掴まれる腕。
「あの女は…俺とは関係ない」
関係ないなら、あの態度は何だっていうのよ。
「仕事上、仕方なく相手にしているだけだ」
「だから?」
「だから…」
いつもの俺様振りは鳴りを潜めて、釈然としない岸谷。
その態度が余計に苛立ちを募らせる。
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