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岸谷は私の女の部分を熟知している。
だから、陥落する前にこの腕の中から逃げ出さないと!
「いてッ!!」
思い切り、向う脛を蹴ってやった。
痛みで怯んだ隙に、岸谷の腕から逃れる。
こういう時に見栄を張るための高いヒールは身を守る武器にもなる。
屈んだ岸谷を見下ろして
「いっつもエロいことで誤魔化せると思うなよ!バーカ!!」
悪態を吐き出し、その場を去った。
ムカつく!ムカつく!ムカつく!!
あいつ、ホントにバカじゃないの!?
自分の職場で、あろうことか客に手を出すって!!
むかっ腹でプンプンしながら会場前へ行くと、課長が待っていてくれた。
「あ!すみません。課長」
「遅かったな。大きいほうか?」
「……違います」
男ってのはデリカシーってものがないのか!
私は口をへの字に曲げて、会場へと入って行った。
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