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結婚相手がいるってことは、岸谷の存在は遊びってこと？
それなのに、私にあの態度をしてきたわけ？
訳がわからない。
モヤモヤする胸の内。
しかし、その後に続けられた会話に耳を疑う。
「相手は何でもここの社員だって言うじゃないか。よくお父上が許したね」
「彼のお母様は、有名なデザイナーですもの」
「なるほど。見劣りする相手ではないってことか」
「父も彼の働きぶりには感心してますの」
え？何？今の…
ここの社員…？
母親がデザイナー…？
「だったら、このホテルも安泰だな」
「だといいんですけど」
このホテルも安泰…？
ここの女性スタッフから『お嬢様』と呼ばれていた目の前の女。
まさか…
「あの…失礼ですが、池上様は…」
「ああ、彼女はこのホテルチェーンの社長のお嬢さんだよ」
返ってきた答えに、ガンと頭をハンマーで殴られたような衝撃。
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