1314人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい。大丈夫か?」
いつもの穏やかな声に顔を上げる。
心配そうに私を窺う課長の姿に、凄く安堵した。
「課長…」
「どうした?」
「酔ったの、かな?」
「お前、顔色悪いぞ」
「今朝から、ちょっと風邪気味で…」
「体調悪いなら無理することなかったのに」
私の隣に座り、私の額に手を当てる課長。
「ちょっと、熱いな」
「…そう言えばそうかも」
怠い…
こんなにもキツいのは風邪のせい。
きっとそう。
あの女の言っていたことなんて関係ない。
一生懸命そう思おうとしてたのに
「改ぁ、仕事、あとどのくらい?」
「俺はまだ忙しい」
「だってぇ、パパが結婚の話はどうなったかって」
「おまっ…!職場でその話するなよ!」
嫌でも耳に入ってきた会話。
課長の肩越しに見えた、焦る様子の岸谷とべったりのお嬢様。
・
最初のコメントを投稿しよう!