11

14/21
前へ
/35ページ
次へ
遠目にぼんやり見つめていると、岸谷とお嬢様は私達には気付かず、二人でスタッフルームの中へと消えて行った。 そこは、さっき、私が岸谷に連れ込まれたところ。 あいつは、仕事中にホントに不謹慎だな… 「フッ…」 ホントにバカだ、私… 自嘲の笑みが零れる。 結局…そういうことか。 また……結婚相手は別ってことね… 「ハハッ!タチ悪っ!」 だったら、最初からアラサー女を相手にするなよなぁ… わかってた……わかってたけど…! 前髪をぐしゃりと掴み、肩を震わせる。 「泣くな、森園」 「え?」 泣いてなんかない。 バカな自分を嘲笑っているだけ。 「あんな奴のために泣かなくていい」 課長の手が私の頬を優しく拭う。 「…ッ………なん、で…?」 自分でも頬を触ると濡れた感触。 そこで漸く自覚する。 ・
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1314人が本棚に入れています
本棚に追加