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「ごめんなさい…!」
「謝らなくていい。どんなことがあっても、俺はお前の味方だ」
後ろめたい気持ちを抱えてしがみ付く私に、課長はどこまでも優しい。
「帰ろう」
「はい…」
差し伸べられた手を掴み、なんとか立ち上がる。
怠さはまだ治まらない。
「小野寺か?すまん。森園が体調を崩して…俺が送るから」
課長はフラつく私を支えながら、携帯で連絡を入れ、二人でタクシーに乗り込んだ。
どんどん遠ざかるホテル。
胸を撫で下ろす。岸谷に会わずに済んで。
私は、ゆっくりと目を閉じた。
すると、思い出したくもない場面が脳裏に蘇る。
結局、瞼の裏に焼き付いている。
岸谷とお嬢様が扉の向こうに消える姿が。
胃がきゅっと痛くなる。
「大丈夫か?キツいんだろ。寝とけ」
課長は私の頭を撫で、自分の肩に乗せた。
私は、課長に素直に従った。
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